英ポンド/円相場は、140~145円のボックス圏でやや強含みに推移している。対ドルや対ユーロでは円が安値を更新する展開が続いているが、対ポンドでは円安傾向が一服している。イギリスの欧州連合(EU)離脱懸念など、政治的な先行き不透明感がポンドの上値を圧迫している。
キャメロン英首相は、「2015年に行う次回総選挙以降に、英国がEUに残留するか離脱するかを問う国民投票の実施を目指す」との考えを明らかにした。「EU加盟は英国にとって国益」としたものの、EUの財政規律強化の動きや、東欧圏からの移民増大などを受けて、保守層を中心にEU離脱を支持する声が強くなっている。まだ国民投票が実施されるか否かさえ不透明であり、仮に実施されるとしても2年以上先の話だが、EUと英国を巡る政治環境の先行き不透明感が、ポンドの重石になっていることは否めない。また、英10~12月期国内総生産(GDP)が前期比-0.3%と予想以上に悪化していること、7月にイングランド銀行(英中央銀行)総裁に就任予定のカーニー・カナダ中央銀行総裁が追加緩和の余地を指摘していることなども、ポンドの上値を圧迫している。キング・イングランド銀行相倍はポンド高に懸念を表明していることも確認しておきたい。特にポンドサイドからは、ポンド高・円安を進める理由が見当たらない。
目先は、1月31日のGfk消費者信頼感調査、2月1日の1月製造業PMIなどが悪化すれば、ボックス下限の140円水準を試すリスクが残る。もっとも、円安圧力が継続する中、ポンド/円相場の本格的な下落は想定しづらい。今後は日本銀行総裁人事なども控えており、現状は漸く「行き過ぎた円高」是正が終了したか否かというレベルである。ボックス下限の140円水準で、改めてポンド買い・円売りを進めるスタンスで臨みたい。
今後1週間の予想レンジは、140.00~145.00円。